これは岐阜での話。
セミナーの講演後、聴講者の一人が「先生、ちょっと、うちに寄ってくださいよ」と声をかけてきた。私は、内心「これは空室で困っているな」と思いながら、その人の車に乗った。
行き先は中心街から40分以上かかる山の中で、そこに目的のアパート(5棟)が建っていた。
近くには民家のほかにショッピングセンターが一軒あるだけ。
しかし、そのアパート50戸(1棟10戸)はすべて満室だと聞かされて驚かされた。
ハウスメーカーが建てた、なんの特徴もないフツウのアパートだったが、ただ外観がキレイで、敷地内にはゴミがまったく落ちていなかった。
私は、「キレイですね、新築なんですか」と質問したところ、10年前から1棟ずつ建ててきたという。
私が満室の理由を尋ねたところ、その家主さんは、3つの理由を明かしてくれた。
1つは、毎日、荷台に放水装置を設けた軽トラックでアパートにきて、朝から晩まで外壁を洗ってキレイにしていること。
2つ目は、ゴミは分別しないで、いつ捨ててもOKということ。
「私が毎日分別して出すようにしている」と家主さん。
3つ目は、駐車場2台分を無料で提供していること。
(※削除)切り口はアメリカ式だが、現状はそれ以上で、サービス過多のような気もする。
聞けば「10年前、10戸のアパート経営を始めたとき、入居者が全然集まらなくて、なにか、差別化できるものはと考えた結果、ここの地域住民のポイントはゴミの分別だった」という。
そして、そこからサービスが広がってきたのだ。
それにしても、毎日、建物からゴミまでキレイにするのは大変な作業である。
が、その家主さんは「先生、百姓をしたことがありますか?百姓はこんなものではありません、もっと厳しい。これくらいでアパート経営ができてありがたいですよ」と、話してくれた。
ちなみに、その家主さんは現在45歳か46歳である。