次は、医療テナント(6店)とワンルームマンション(39戸)を合わせもった『長谷川メディカルプラザ富岡』(所在地:横浜市富岡)。 当社が企画し、現在、管理運営している物件である。
オーナーはスーパーマーケットを火災で焼失し、その跡地に「地域住民に喜んでもらう、そして、一人娘が将来お金に困らないように」この2つの条件に合う建物を、と依頼してきた。
当初は、診療所と高齢者専用の賃貸住宅をセットした建物にする計画であったが、その地域周辺のニーズ調査をしたところ、若い人が多く、入居者を高齢者に絞らないで誰でも入居できる一般のワンルームマンションタイプ(賃料62,000円)と、診療所のセットに変更した。
オーナーにとっては、高齢者専用住宅にすれば、国から8,000万円の補助金を得られたが、当社は「部屋を満室にするには高齢者専用では難しい、また高齢者は自分を高齢者と思いたくないものですよ」と、オーナーに納得してもらった。
建物は2棟で、歯科や内科などの医療テナントが入っている前部の医療棟と後部の住宅棟とが通路でつながり、このあたりは、前記の「病院とアパートがつながっている」発想である。
また、建物は、床が2層構造で、下の層に雨水などが貯まるようになり(排水可能)、通路は地震の影響を緩和させるために、2つの建物より先に壊れるようになっているのが特徴だ。
また、とくに建物の外観、デザイン(アメリカではデザインが悪いと銀行の融資が受けられないという)に趣向を凝らした物件である。
道路に面した前部の建物はシンメトリー(中心から両サイドが同じデザイン)で外観は古典的な落ち着いた茶系にし、中央の位置に医療テナントの各看板、その上に大きくて丸い時計台を設け、見た目でも周囲の建物との差別化を図っている。また、この建物は、雑居ビルで届けているため、将来のニーズの変更にも対応できるようになっている。
この建物の敷地は、当初計画では、道路に面した医療棟部分の約250坪(スーパーマーケット跡地)であったが、後から、その裏側の300坪の借地権付き土地を買い取って、総敷地550坪の大型物件となった。
オーナーの投資額は約9億円、銀行借入金のうち3億5千万円を15年返済、4億円を25年返済と2つに分けた。理由はオーナーの条件の1つであった「娘さんのために、15年後に返済を終えるように配慮した」わけである。
ちなみに、この投資物件から得られるオーナーの年間キャッシュフローは1,500万円で、15年分のローン返済後の娘さんには年間4,800万円入ることになる。他に、この物件の特長は、前述したが1建物が100年持つ耐震性(地すべり方式)に優れていること、235年間はメンテナンスフリー、3医療テナントの賃料は一定で15年契約、4管理運営を担うCFネッツの収益は家賃収入を基準とするのではなく、建物全体から上がる収益の7%となっていることである。
現在、医療テナントは5つ埋まり、1つ余裕がある。これはオーナーの要請で、レーザー治療できる眼科を募集中とのこと。私としては、建物の収益構造を高めるために、夏にはビアガーデンなどが開けるように、屋上のスペース貸しを考えている。