『横浜コミュニティ』(横浜市緑区)は、一部上場企業の社員寮(45室)をマンスリーマンションに切り換え、成功した物件だ。社員寮のオーナーは、その企業と30年借上げるという契約を交わした上で、建設資金として銀行から30年の融資を受けていた。しかしながら、不景気のため15年で途中解約され、困り果てて、買い手を探していた。
しかし、建物の解体費用が5,000万円以上かかるとあって、買い手がつかず、当社に持ちこまれてきた案件だ。物件自体は、さきほどの「月極倶楽部浅草」同様に大型で、ワンルームマンションであったら借上げされていただろうし、更地なら、マンションデベロッパーが競っても購入したくなる物件だ。
当社としては、始め、オーナーに対し「全室にユニットバスを設置」するならば借上げることを提示した。
しかし、これも設置費用が約5,000万円かかるとあって、受け入れられず、オーナーからは「誰かに売ってほしい」と、売却を依頼された。
そこで、当社は、物件近くで153室の寮を所有するクライアントの地主にマンスリー用投資物件として紹介、最終的に、承諾を得た。投資金額は、ユニットバス代含め2億7千万円、銀行融資が2億2千万円、自己資金が5千万円。当社が借上げ、管理運営することになった。
この物件の特長は、もと寮ということで、広い食堂があり、そこをアメリカ式に共用のリビングスペースとして開放し、ソファをはじめテレビやパソコン(2台)を置き、自由に利用できること。加え、キッチンスペースも大型冷蔵庫以外は自由に使え、自炊できるようになっている。
リビングスペースで入居者同士が親しくなり、一緒に料理を作ったり、お酒を飲んだりして、コミュニティの場として重宝がられている。
また入居者の半数近くを留学生などの外国人が占め、入居者に合わせて受付フロントは外国人。そのため、英語が日常会話で用いられるので、日本人にとっては英会話の勉強の場にもなっている。
また寮ならではの大浴場があることから、サービスで『銭湯の日』を設けようと企画したことがあった。
しかし、外国人が多く、また今の若い人はユニットバスで十分のようで、喜ばれなったため、現在、大浴場をアスレチック場に衣替えすることを考案中である。
賃料は88,000円(借上げ料は38,000円)、年間契約で月68,000円。
当初は稼働率90%を超えていたが、大手電気メーカーの社員22人が一挙に退去したため、目下(7月時点)18室空いているが、稼働率55%が収益分岐点なので、採算的には心配はない。