サブリースをメインにしている会社や、その会社から委託を受けて管理業務を行なう賃貸管理会社の中に、“賃料の値下げ”が入居促進の切り札であると勘違いしているところが多く見られます。
しかしながら、そもそも物件の価値は、PLACE(場所)、PRICE(価格)、PRODUCT(建物・設備)、PRESENTATION(営業・広告)、この4つのPを基準にして評価しなければならないはずです。
少なくとも当社は、この4つのPが正常に機能しない限りはお客さんが決まらないと考え、お客さんに物件を提供するように努めています。いくら価格(賃料・家賃)を下げても、そのほかの3つのPが機能しなければ、なかなかお客さんが付きません。
たとえ、無理な価格設定をしてお客さんが付いたとしても、賃貸経営は長続きしません。それに反し、目先の収益を確保するために、躊躇なく“賃料値下げ交 渉有りき”としてサブリースを行なう会社があります。無謀な値下げキャンペーンは度外視し、賃料を多少下げたからといって、他のPをおろそかにしていては 簡単に決まるものではありません。
そこで、4つのPですが、既存物件では、PLACE(場所)は動かしようがなく、問題は賃料と建物・設備、そして営業・ 広告、このPのあり方、バランスです。大手の業者の中によく見受けられますが、空き物件を早く決めようとして、大々的にキャンペーンをはり、一定期間「賃 料半額」とか「無料(フリーレント)」とかいった賃料だけを突出させた異常といえる営業戦術を行なっています。その結果どうなるかというと、適正な市場価 格を大きく乱すわけですから、他社の物件の賃料も下がり、自分たちが管理する物件全体も下げざるを得なります。
つまり、その会社はPRICE(価格)のみ を捉え、企業努力を怠った分を、値下げ攻勢で補おうとして自ら最悪の事態を招いているのです。このような会社へ物件を任せていたら、近隣の市場にも影響を 与え、オーナーさんにとっては大変不利益な市場が形成されてしまいます。
当社はインターネット等で常に適正な賃料相場を把握していますから、管理している 物件が相場賃料よりも低くなっていれば、できるだけ早くその適正賃料に上げられるように努力しています。PRESENTATION(営業・広告)は当社が 担い、PRODUCT(設備・建物)のリニューアルはオーナーさんに担ってもらい、そして集客でき、適正なPLICE(価格)を維持していくようにしてい ます。
事例
管理会社から入居状況が芳しくないということで、オーナーさんに賃料値下げを強要してきました。そのオーナーさんが、当社に相談に来ました。
その物件はアパート形式ながら、最寄り駅に近く設備も賃貸マンション並みに良かったのに、管理会社はほとんど広告活動をしていませんでした。
相談内容では、その管理会社はたまたま物件の近くに店舗(支店)を構えていたから、管理を引き受けているといった感じで、他に支店ネットワークがあるのに、その支店の店頭だけで入居者募集をしているという、管理会社としては無責任な対応だったということでした。
つまりそれは、良い物件なのに、PRESENTATION(営業・広告)がなっていないために、空き室がなかなか埋まらない。いわば埋まらない原因を4Pの中のPRICE(賃料)のみのせいにし、オーナーさんに値下げを強要してきたわけです。
結果的に、その物件は空き室が増えたことにより、当社に管理換えすることになりました。当社は近隣相場等から改めて適性賃料を算出し、オーナーへは鉄部の塗装、廊下の清掃、前の管理会社の古く腐った看板の撤去をお願いしました。
適性賃料とともに、もともと良い物件の上に見た目のイメージを変えたことが効果を発揮したようで、すべての空室について早期にお客さんをつけることができました。