事例
ある日突然、管理会社からオーナーさんへ、「毎月の賃料送金は月末にしてもらいたい」という内容の手紙が届きました。このオーナーさんはその会社に管理を委託した際、「賃料送金日は当月5日」という約束をしていたし、ローンの関係もあり、そう簡単に送金日を変えてもらっては困るわけです。
そんなことで当社に相談に来られました。
話を聞くと、その手紙1通で「それに従えなければ管理はできない」ということも付け加えられていました。しかし、こういう大事な内容は管理会社がきちんとオーナーさんと話し合うべきことです。
当社はその話を聞き、従前の「5日送金」で管理を引き受けさせてもらいました。最近、厳しい状況になっている管理会社が増えています。
この事例のように、オーナーさんへの賃料送金を1ヵ月遅らせることにより、自社の資金繰りを補おうとする管理会社が多くなっています。こうした経営面で追い詰められた会社は、入居者から預かっている敷金すら手元になくなっていることが予想されます。
したがって、管理会社からオーナーさんへ賃料送金日の遅延等の強要があった場合は気をつけなければなりません。
事例
不良入居者とのトラブルが発生したため、オーナーさんはその入居者に退居してもらいたく、管理会社へ対処を求めたものの埒があかず、当社へ相談に来られました。
その管理会社はオーナーさんに対し、「契約書に基づいて対応してほしい」と指示したようですが、実際、契約書をみると、不良な入居者を退居させることができる内容となっていませんでした。
使用した契約書用紙は市販のもので、書いてある条文等も一般的で当たり障りがなく、個別の厳しい特約条項がまったく記述されていませんでした。
おそらく、こうした甘い契約のため、トラブルを起すような人が入居したのではないかと予想されました。結局のところ、不良入居者を退去させるノウハウをもつ当社がその物件を管理をすることになり、問題の入居者をなんとか退居させることができました。
そのあと、オーナーさんの了解をもらい、契約書には不良入居者に対しては具体的に特約条項をつけることにし、以降、トラブルが発生した場合、オーナーさんは「契約違反」と指摘することができるようになりました。
いずれにしても、不良入居者は健全な賃貸経営を維持していくためには大きなマイナス要因です。
たとえば、総戸数10戸の賃貸マンションに1戸でも不良な入居者が入ってしまうと、他の部屋にも影響を与えるようになります。ですから、万が一、不当に入居されたとしても早期に対応(強制退居)できる契約書の内容でないと、健全なマンション経営を維持していくのが難しくなります。それだけ、オーナーさんと入居者が結ぶ契約書は大切なものなのです。