事務作業の怠慢な管理会社--その大方は、コンピュータシステムの整備が遅れている管理会社といえるでしょう。
当社では考えられないことですが、常識的な更新時期、入居者の入れ替え時期等の事務的な作業がきちんと行なわれていないところが意外と多いのです。
一般に、賃貸住宅の契約書の更新は2年に一度ですが、それをやらないで放置しているのです。
しかし、更新業務をパスするということは、貸主であるオーナーさんと借主である入居者双方にデメリットがでてきます。
貸借両者にとっては自動的に法定更新になりますから、そうなると、貸主は連帯保証人の債務を免除せざるを得ないことになり、家賃の滞納が発生しても保証人に代って支払ってもらうことができなくなる可能性が高くなるわけです。
きちっと更新すれば、連帯保証人の意識確認ができるので、貸主はそうした不利益を蒙ることはなくなります。
また、入居者にとっては、更新料がかからないというメリットは出てきますが、自動更新以降は期限の定まらない契約ということになってしまい、オーナーさんの都合で「出ていってください」とか「道路拡張で収用される」とかの理由で退去を強要されたとしても、貸主に対して十分な立退き料を請求できなくなります。
事例
あるオーナーさんから管理換えを依頼され、当社が引き受けたことがあります。
その際、前の管理会社が既存入居者と交わした契約書を渡してくれるように指示したところ、その管理会社は入居者との契約書を保管していないということが分りました。
言うならばまったく、管理する会社の最低限の事務作業も怠っていたわけです。仕方なく、当社は管理することになった物件の全入居者の部屋へ出向き、1件1件契約書をコピーして手渡してもらうことになりました。
すると案の定、そんな怠惰な管理会社でしたから、既存入居者すべてが法定更新となっていました。
中には、10年間も更新されずにいたり、連帯保証人の署名捺印が確認されていなかったり、また署名自体が入居者自身の手書きになったりしていました。
このような管理の杜撰さでは、仮に、家賃不払いなどが起きた時、連帯保証人に対し、借主債務の請求ができるのか疑問です。
そのことを、その管理会社へ問い詰めてみたものの、もとより更新業務の必要性さえも感じていませんでした。賃貸管理業界には、こんな初歩的といえる間違った賃貸管理をしている業者がいるのです。
その物件は、当社が管理を引き受けたことで、すべての部屋の契約を整備し、更新も2年に一度することになりましたが、その管理会社にしても、このような事務的な作業はコンピュータシステムが整っていればそれほどの問題にならないはずです。