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8月6日(金)に、財団法人日本賃貸住宅管理協会兵庫県支部が開催したセミナー「高齢者住宅の現状と今後の展望(講師:株式会社不動産中央情報センター 瀧谷嘉彦氏)」に参加してまいりました。今回は、当日参加できなかった皆様に、セミナーの内容をお伝え致します。高齢者向け物件をお考えであれば、とても参考になると思います。 |
高齢者の現状
何故、高齢者向け物件が注目されているかというと、ご存知の通り65歳以上の人口が今後増えていくからです。現在、65歳以上の高齢者は2337万人、高齢化率は約18%です。2013年には3000万人を上回り、2025年には高齢化率25%、つまり4人に1人は高齢者になるわけです。しかもこの伸びは衰えず、2033年には実に30%台に達する見込みです。単純に考えても、「高齢者向け住宅」の必要性が見て取れます。
では、高齢者の実像はどうあるのか、以下を見て下さい。
■高齢者の実像
◇高齢者(65歳以上)のいる世帯数=1489万世帯(1999年)
→高齢者のいる世帯の46%が単身、夫婦のみ世帯
◇高齢者(65歳以上)のいる主世帯の持家率=85%(1998年)
◇高齢者世帯の年間所得=329万円(1999年)
世帯人数減り、一人当たりの可能処分所得は多い
◇世帯主(65歳以上)世帯の貯蓄現在高=2739万円(2000年)
◇世帯主年齢別資産状況=70歳以上:金融資産1711万円・実物資産4283万円
◇要介護高齢者数280万人=全高齢者の13%(2000年)
この数値から分かることは、我々が抱きがちな「高齢者=お金を持っていない」では無いのです。収入が少ないため、高齢者=お金を持っていないイメージが定着し、安い家賃の部屋で無ければいけない、と思い描いてしまいますが、実像では貯蓄や証券、不動産などの資産があるのでお金が無いということではありません。また、高齢者=病気・病弱というイメージもありますが、要介護率の低さを見ていただければ分かるように、まだまだお元気でおられます。そして、昔よりも長寿化傾向にあり、平均寿命から割り出すと定年退職後、男性で約12年、女性で約22年の余生があります。
つまり、高齢者の実像は、
『智恵有り、金有り、暇も有る』
ということになります。
高齢者とマンション
それでは高齢者とマンションの関係を考えて見ましょう。
高齢者の持家率は85%で、高齢者のいる世帯の46%が単身・夫婦のみで生活されています。その中の多くは郊外の庭付き戸建てに住まれていると予想できます。
郊外の庭付き戸建てに住まれている高齢者の現状を説明します。
■庭付き戸建てのデメリット(郊外の持家、単身・夫婦のみで生活)
部屋数が多く、子供部屋が不要=掃除、管理が大変
近くに公共施設が無い(車の運転がおっくう)
銀行、郵便局が無い=年金を下ろせない
病院が近くに無い=通院に不便
スーパーマーケットが無い=食事をつくるのがおっくうになる
では、どのような持家の処遇が考えられるでしょうか。
■持家の処遇
◇自宅を継続利用
▼そのまま使用
高齢者にとって住みづらい
広すぎる
バリアフリーが為されていない(バリアフリー化は全国で1.6%)
緊急対策が無い
▼高齢者向けに改装
改装費がかかる
二階建てであれば二階の活用は難しい
家が広く無駄な部屋が多い
◇自宅を売却か賃貸(※相続資産問題、財産分与)
▼転居
都市のマンション(都市回帰)
高齢者向け居住住宅
つまり、持家で生活するメリットは低く、都市のマンションや高齢者向け居住住宅へ移るメリットが大きいのです。
◇都市のマンション、高齢者向け居住住宅へ移るメリット
管理できる部屋数
銀行、郵便局、病院、スーパーマーケット(コンビニ)や公共施設が近い
バリアフリー
介護サービスが受けられるところがある
改装費がかからない
持家を売却、賃貸、相続できる
住まいのミスマッチ
現在、65歳以上の単身・夫婦のみで生活されている世帯のうち、50%が100平米以上の持家に住まれています。逆に65歳以下の4人世帯は、31%が100平米以下の住宅に住まれています。これは、高齢者が広く大きな家、その子供世代の4人家族が、小さく狭い家に住んでいることになります。先ほどの、高齢者が持家に住み続けるデメリットの多さから、双方住み替えを考える必要が、この数値でも表されています。
高齢者向け物件が、いかに高齢者が快適に暮らすのに優れているかお分かりいただけたと思います。また、高齢者が今後増加していくことを考えても、これから高齢者向け物件の需要が増えることが予測でき、高齢者向け物件の時代が来ることを物語っています。
財団法人日本賃貸住宅管理協会
兵庫県支部
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