普段なじみが薄い寄付ですが、お世話になった団体や今後期待する団体などに多少なりとも私財を提供したいとお考えの方は多いのではないでしょうか?
ところで、寄付金については寄付金控除という税制上の優遇措置があります。今回はその優遇措置「寄付金控除」のご案内です。
【1】控除が受けられる寄付金
まず寄付金控除が受けられる寄付(特定寄付金)は残念ながら下表の?の左欄記載のものに限られています。なお、(2)の特定の団体には独立行政法人、日本赤十字社、日本私立学校振興・共済事業団、自動車安全運転センターなどが含まれます。
【2】控除の対象とならない寄付金の例
? | 私立学校に対する寄付金は下表の?の(2)に該当し寄付金控除の対象となりますが、学校への入学に関して納める寄付金は対象外となります。 |
? | 寺社に対する寄付金は基本的に下表の?のいずれにも該当しないので寄付金控除は受けられません。 しかし、その寺社が公益法人等で公益の増進に寄与するものとして財務大臣が特定寄付金に指定している場合(官報に掲載されます)には寄付金控除の対象となります。有名なものでは伊勢神宮の遷宮資金への寄付金が指定寄付金とされています。 |
【3】控除額の計算方法
寄付金控除額の計算式は下表の?をご覧ください。なお、扶養控除等と同じ所得控除ですので、実際の所得税の軽減額は控除額に所得税の累進税率をかけたものとなります。
【4】土地の寄付
もちろん、不動産の寄付も可能です。土地の場合、寄付した金額はその土地の取得費と寄付に要した費用の合計額となります。なお、国・地方公共団体等に土地を寄付した場合は譲渡に該当せず譲渡所得税はかかりません。
【5】手続
寄付金控除を受けるためには寄付金控除に関する事項を記載した確定申告書を提出することが必要です。その確定申告書には寄付した団体などから交付された領収書等と下表の?の右欄の書類を添付等します。
【5】住民税では
住民税においても寄付金控除の制度がありますが、その範囲は所得税より限定されています。
都道府県・市区町村(以上、「ふるさと納税」といわれます)、住所地の日本赤十字社支部・都道府県共同募金会に対する寄付は住民税でも寄付金控除の対象となりますが、それ以外では都道府県・市区町村が独自に条例で定めた寄付金のみが対象となります。
詳しくは各地方公共団体にお問い合わせください。
I. 控除が受けられる寄付金の範囲と添付書類
寄付金の範囲 | 添付書類(領収証等以外) | |
---|---|---|
(1) | 国や地方公共団体に対する寄付金 | - |
(2) | 学校法人、社会福祉法人などの特定の団体の主業務に係る寄付金 | 独立行政法人・特定公益増進法人等を証する書類の写し |
(3) | 公益法人などに対するもので財務大臣の指定した寄付金 | - |
(4) | 特定公益信託の信託財産とするために金銭でする一定の寄付金 | 特定公益信託を証する書類の写し |
(5) | 認定NPO法人への一定の寄付金 | 特定非営利活動に係る寄付である旨を証する書類 |
(6) | 一定の政治献金(税額控除と有利な方を選択可) | 選挙管理委員会等の発行する「控除のための書類」 |
(7) | 特定地域雇用等促進法人への一定の寄付金 | 特定地域雇用等促進法人を証する書類の写し等 |
(8) | 特定新規中小会社に対する一定の出資 | 特定新規中小会社を証する書類の写し等 |
II. 控除額の計算方法