【1】はじめに
サブプライムショック以降、政府は中小企業向けの資金繰り対策として①信用保証協会での「景気対応緊急保証制度」や②「中小企業金融円滑化法」を施行しました。これらの制度を利用されている中小企業の方も多いのではないかと思います。
これらの制度の他に中小企業の資金繰り対策として「中小企業倒産防止共済」制度があります。同制度は、平成22年度の税制・法律改正により制度が拡充されております。
そこで今回は、「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」についてまとめてみました。制度拡充部分を二重下線で示しています。
【2】中小企業倒産防止共済の概要
中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産の影響を受けて中小企業者が倒産する連鎖倒産や著しい資金不足による経営難に陥ることなどを防止するための共済制度で、中小企業の経営の安定を図ることを目的としています。
① | 中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産の影響を受けて中小企業者が倒産する連鎖倒産や著しい資金不足による経営難に陥ることなどを防止するための共済制度で、中小企業の経営の安定を図ることを目的としています。 |
② | 取引先が倒産した場合には、掛金総額の10倍の範囲内で最高8,000万円の(共済金)貸付けが受けられます。 |
③ | 掛金の中から一時貸付を受けることができます。 |
④ | 解約手当金を受けることができます。加入後、40ヶ月(3年4ヶ月)経過以降に解約すると掛金は全額返金されます。 |
⑤ | この制度は中小企業倒産防止共済法に基づく制度で、国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。 |
【3】加入ができる中小企業者
加入できる中小企業者は引き続き1年以上事業を行っている個人の事業者又は会社で、次ページ表の「資本金等の額」又は「従業員数」のいずれかに該当する者です。
業種 | 資本金等の額 | 従業員数 |
---|---|---|
製造業・建設業・運送業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及び チューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
【4】掛金
【5】共済金の貸付け
共済加入後、6か月以上経過して、取引先企業が倒産し、売掛金や受取手形などの回収が困難となった場合に、掛金総額の10倍の範囲内で最高8,000万円の共済金の貸付けが受けられます。
共済金は、無担保、無保証人、無利子で受けられます。
取引先事業者の「倒産」とは、次のいずれかの事態が生じた場合をいいます。
(1)破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てがされた場合
(2)手形交換所に参加する金融機関によって、取引停止処分を受けた場合
(3) 弁護士等の関与による私的整理の内、所定のもの
※「夜逃げ」や「法的整理及び上記(3)以外の整理」は、倒産には含まれません。
(注)金融業及び不動産賃貸業を専業とされている企業については貸付はできません。
【貸付を受ける場合の注意点】
(1)
取引先倒産等の日から、6ヶ月以内に貸付請求をしないと貸付を受けられません。
(2)
回収不能となった売掛債権等と掛金総額の10倍に相当する金額のいずれか少ない金額の範囲内が貸付の金額となります。
(例)掛金総額が200万円で倒産をした会社への売掛金債権等が500万円の場合
掛金総額200万円×10倍=2,000万円 > 売掛金債権等 500万円
いずれか少ない方の 500万円 が貸付額の上限となります。
【6】一時貸付金の貸付け
共済契約者に臨時に事業資金を必要とする事態が生じた場合は、掛金の内、所定の範囲内で一時貸付金の貸付を受けることができます。
加入後1年以上経過していることが条件となっています。1年経過時には、掛金総額の70%貸付を受けることができ、貸付の最大額は、掛金総額が800万円のときに約750万円の貸付を受けることができます。
貸付額は30万円以上で5万円の整数倍で、貸付期間は1年以内の一括返済で、利息は年1.5%の先払いになります。
【7】解約手当金
共済契約が解除されたときは、下記表の解約手当金が支給されます。なお、解約手当金は、法人は益金、個人は事業所得の雑収入に計上することとなっています。
掛金を納付 した月数 |
任意解約 | 機構解約 | みなし解約 | 掛金を納付 した月数 |
任意解約 | 機構解約 | みなし解約 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1ヶ月~11ヶ月 | 0% | 0% | 0% | 30ヶ月~35ヶ月 | 90% | 85% | 95% |
12ヶ月~23ヶ月 | 80% | 75% | 85% | 36ヶ月~39ヶ月 | 95% | 90% | 100% |
24ヶ月~29ヶ月 | 85% | 75% | 90% | 40ヶ月以上 | 100% | 95% | 100% |
(注)「機構解約」は、1年以上掛金を滞納したとき等の機構の強制解約のことをいいます。
「みなし解約」は、契約者の死亡、会社解散等のときの時点で解約されたものとみなされることをいいます。
【8】まとめ
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)制度は、黒字の企業にとって、掛金支払により損金対策が出来ると共に、資金繰りを考えておれらる企業にとっても共済の貸付け・一時金の貸付・解約手当金による資金の融通が可能となります。
共済の貸付を受けることができる中小企業者は、共済加入後、6ヶ月以上経過していること等の要件がありますので、まだ加入されていない方は早めの加入をお勧めします。
また、加入については、金融機関の本支店・商工会議所・市町村の商工会・中小企業の組合や公認会計士・税理士事務所等で取り扱っていますので相談・申し込みをして下さい。