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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

株式の配当についての平成15年度税制改正

 平成15年度税制改正では各種の税目において改正が行われました。証券税制についても多様な改正がありました。上場株式等については平成13年より売却に係る改正が続きました。今回の改正では売却以外に、上場株式等の配当に係る税制改正が盛り込まれました。これにより同じ配当所得でも上場株式等とそれ以外の株式等とでは、確定申告や源泉徴収税の取扱いが異なることとなりました。
大きな税制改正の中で、配当に係る税制は目の行きにくい部分になります。今回はこの配当についての税制改正について取り上げたいと思います。

配当についての平成15年度税制改正
申告時、どうすれば有利になる?

 

上場株式等に係る配当
(1)平成15年4月1日以後の源泉徴収税率は10%
平成15年4月1日以後に支払を受ける上場株式等の配当の源泉徴収税額が従来の20%から、時限的に10%に下がりました。また平成16年1月からは住民税が課税されることになります(住民税が3%、所得税が7%となります)。
平成15年1月以後の配当の所得税・住民税の源泉徴収税率は下記の通りになります。

 

≪上場株式等に係る配当の源泉徴収税≫

期  間 平成15年1月
~平成15年3月
平成15年4月
~平成15年12月
平成16年1月
~平成20年3月
平成20年4月~





所得税 20% 10% 7% 15%
住民税 なし なし 3% 5%
合 計 20% 10% 10% 20%


(2)上場株式等の配当は原則申告不要
  税制改正前は少額の配当金額についてのみ確定申告が免除されていました。これが今回の改正により配当金額の多寡にかかわらず、平成15年4月1日以後に支払を受ける上場株式等の配当については確定申告義務が免除されることになりました(個人の大口株主を除く)。
  しかし従来通り、確定申告するかどうかの判断は納税者の任意ですので、確定申告をしたほうが納税者に有利な場合には確定申告を選択することができます。
※ 少額の配当について確定申告を選択した場合には平成15年12月までは従来通り住民税は非課税ですが、今回の改正により平成16年1月以降は確定申告を選択した場合には少額配当も住民税が課税されますので御注意ください。
整理いたしますと、平成15年以降の上場株式等配当所得税の取扱いは下記の通りになります。

 

≪上場会社等から支払いを受ける株式配当の取扱い≫

  平成15年3月31日まで 平成15年4月1日以降
配当
金額
1銘柄
10万円以下
確定申告は、
してもしなくてもよい
(原則は申告要)
10%な全ての配当
(個人の大口株主以外)
確定申告は、
してもしなくてもよい
(原則は申告免除)
1銘柄
10万円超
確定申告が必要

※「1銘柄10万円」は、中間配当がある場合は「1銘柄5万円」となります。
確定申告を選択した場合には、住民税も別途課税されます(平成15年中の1銘柄10万円以下の配当は除く)。

 

(3)配当所得の源泉分離選択課税制度の廃止
従来、納税者の申告により35%の源泉徴収税率による源泉分離課税制度がありました。今回の税制改正に伴い、平成15年3月31日をもって廃止されました。

 

(4)大株主の取扱い
発行済株式総数の5%以上の株式を所有している個人の大株主が支払いを受けた配当等について、(2)の「上場株式等の配当は原則申告不要」にかかわらず、確定申告が必要になります。
また、大株主が受け取る上場株式等の配当については、源泉徴収税率等も一般株主とは取扱いが異なりますので注意が必要です。

 

上場株式等以外の株式(非上場株式等)に係る配当
今回の配当についての税制改正は上場株式等の配当に係るものだけになります。非上場会社等の株式に係る配当については従来通り、下記の取扱いとなります。


≪上場会社等以外の配当取扱いのまとめ≫

配 当 の 種 類 源泉徴収税率 確定申告の要否
少額配当 1銘柄10万円以下
(中間配当がある場合は5万円以下)
20%(所得税のみ) 確定申告は
してもしなくてもよい
(原則は申告要)
少額配当
以外の配当
1銘柄10万円超
(中間配当がある場合は5万円超)
確定申告が必要

 

 なお少額配当について確定申告を選択した場合には従来は非課税とされた住民税が、平成16年以後は課税されることになりました。少額配当について確定申告を行ったほうが有利かどうかの判定には、この住民税額と配当控除額との検討が必要になります。
(1)配当所得の源泉分離選択課税制度の廃止
上場株式等以外の株式の配当にも適用があった、35%の源泉徴収税率による源泉分離課税制度は、今回の税制改正に伴い、平成15年3月31日をもって廃止されました。

 

確定申告の選択の判定
配当の申告不要制度は、従来は上場株式等とそれ以外の株式等とも、少額配当の申告不要制度1本でした。申告不要とした場合には住民税も全て非課税でしたので、確定申告の選択基準も一律。おおむね所得金額が年間900万円以下の方は、確定申告したほうが有利でした。
しかし今回の改正により1上場株式等とそれ以外の申告不要制度が2つに分かれて、2住民税非課税撤廃されたため、確定申告の選択の検討事項が増えました。「上場株式等か上場株式等以外の株式等か」「少額配当かどうか」「所得税率・所得税の配当控除制度の検討」「住民税率・住民税率の配当控除制度の検討」と検討しなければいけません。配当についての課税の取扱いは複雑になりましたので、実際の判断の際には税理士さんと御相談下さい。

2004.09/07

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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