確定申告をされている方・・・青色での申告をされていますか?
青色申告をされている方・・・その特典を十分に活かしていますか?
今回は、青色申告の深い利用法のさわりをご紹介いたします。
はじめに
最近、新たにお客様になられた方の過去の確定申告書をいくつか拝見いたしました。なかには白色申告をされている方、青色申告ではあるがその特典を生かし切れていない方がおられました。そこで、今回は所得税の青色申告について確認の意味を込め簡単にご案内いたします。
青色申告とは
確定申告には複式簿記により作成した一定の帳簿を備えて行なう青色申告と、簡易な計算方法で行なう白色申告があります。平成12年までは青色の申告書を用いたためにこの呼称がつきました。現在は青色も白色も同じ申告書で行います。青色申告は書類を整えるのがたいへんなぶん、所得税上、各種の特典があります。
青色申告のできる人
事業所・不動産所得・山林所得を生じる業務を行っている人
確定申告を行なっている人であれば誰でも青色申告ができるわけではありません。上記の三つの所得は他の給与等の所得に比べ計算が複雑なため、正確な申告促進の見地から青色申告制度を認めています。なお、青色申告をするためには所轄の税務署長の承認が必要になります。
青色申告の特典
青色申告を条件に利用できる特典のうち主なものは以下の通りです。
1青色申告特別控除
2青色事業専従者給与
3純損失の繰越控除・繰戻還付
4減価償却の特別償却・割増償却
5貸倒引当金等の引当金の計上
6低価法による棚卸資産の評価
7推計課税の禁止・更正の理由付記
8不服申立の特例
このうちでも重要な1~3について以下で簡単にご説明します。
青色申告特別控除
青色で申告をする場合、所得金額の計算上65万円(簡易帳簿等の場合は10万円、いずれも所得金額限度です)を控除できる制度。もっとも基本的な特典ですが、正式な帳簿を調えるのが面倒なのでしょうか、10万円の控除しかされていない方がときどきおられます。この55万円の差は、税率20%ならば納付税額で11万円の差額となります。
青色事業専従者給与
親族への給与はお手盛りになる可能性があります。従って、親族への給与は税法上損金算入額が制限されています。白色申告では、申告者の事業にもっぱら従事している親族への給与(専従者給与)のうち必要経費として認められる金額は配偶者で86万円、その他の親族で50万円に限られます。一方、青色申告では事前の届出等一定の要件のもと、常識的な範囲内であれば全額必要経費となります。
純損失の繰越控除・繰戻還
事業を営んでいれば損失が生じることもあります。この場合、青色申告であればその全額について翌年以後3年間の損失の繰越控除が可能です。これに対し白色申告の場合、3年間の繰越控除が可能となるのは、その損失のうち事業に使用している資産について災害により生じた損失等に限られます。 また、前年の所得と今年の損失を相殺して前年に納付した所得税の還付を受ける繰戻還付は青色申告の場合のみ適用可能です。去年は税金を納めたが、今年以降所得が当面でないとお考えの方は繰戻還付の適用も検討されてみてはいかがでしょうか。
青色申告承認申請書の提出
最後にはなりますが、3で述べたように青色申告は税務署長の承認を受けることが必要になります。承認申請書の提出期限は新規に業務を開始した方は業務を開始した日から2ヶ月以内(業務の開始が1月1日から1月15日の場合は3月15日まで)、すでに白色申告者として業務を行なっていた方は青色申告に変更しようとする年の1月1日から3月15日までとなります。 なお、相続により青色申告者である被相続人の事業を承継した場合も、相続人自身が青色申告者でないときは承認申請書の提出が必要となり、その提出期限は一般と異なる点にはご注意ください。相続がおこった場合に忘れがちなポイントです。詳しくは税理士など専門家にご確認ください。