以前、知り合いの地主さんから「アパートを建てたいから、どんなものが良いか企画してほしい」と頼まれ、 10 枚ほど図面を作ってみたことがあった。しかし、周辺の市場調査をしてみたら、どうしても集客に自信がなく、その地主さんに「場所的に、ここに賃貸住宅はムリですよ」と断った。すでに図面を作り、建物が建てば管理の仕事も増えるのに、私の会社にとっては、マイナスであったが、コンサルタントの立場からそう結論付けたのだ。
その地主さんは「では、どうしたら良いか?」と聞いてきたので、私は「売却し、買い換え特例を使い、他のイイ場所を買いましょう」とアドバイスをした。結局,その土地はゼネコンやデベロッパーなど6社の競争入札にし、その結果、 2 億 8,000 万円の評価だった土地を 3 億 8,000 万円で売り抜けることができた。買い手は、上場したばかりのデベロッパーで、そうした企業は、つねに土地を買って建物を建てつづけなければならないので、高く売れたのである。
また、大道路から奥まった、ガソリンスタンドの裏手にある土地のオーナーから、賃貸住宅の企画設計を依頼されたことがあった。しかし、周辺のアパートや賃貸マンションは空室率が高く、賃貸住宅はリスクがあるので、他の有効活用を考えたほうが良い、とオーナーにアドバイスした。そして、結果的には苦肉の策で、その土地に 900 万円投資することにし、建物を建て、リスクを回避させるために大手の弁当屋サンに 700 万円の保証金を出させて月額 35 万円で貸し出すことになった。その建物の敷地には車 10 台以上停まれるスペースがあるので、大道路を通行する車を弁当屋さんに引き寄せるために、GSの屋根の上に、その大手弁当屋では日本一大きな看板をつけさせてもらった。オーナーにとっては、 ‘ 賃貸住宅 ' から ‘ 弁当屋 ' に変わって、戸惑いがあったかと思うが、これが土地有効活用の逆転の発想である。
話は変わるが、現在、日本銀行が一般銀行へ貸し付ける融資量が過剰気味、国債の発行高も約 700 兆円に膨らみ、ハイパーインフレ ( 供給過多 ) といってもおかしくない状態で、市中に出まわるお金(マネーサプライ)も増えつづけている。ところが、実際の日本経済は、円高等の影響で物価は低水準で推移し、目下、デフレ対策が注目されている。賃料低下もデフレ経済下では仕方ない気もするが、その一面、設備資材のように、一時期より 2 割近く上がっているものもあることも見逃せない。私は、いずれ、ハイパーインフレとコストプッシュインフレが表立って、近い時期にインフレ経済に転じるとみている。そうなれば、当然、賃料も上昇することになる。ちなみに、円だけではなく、米ドル、ヨーロッパのユーロ、中国の元といった世界経済を引っ張るお金は増えつづけている。
とにかく、今は、賃貸住宅市場をとりまく環境は厳しく、相続対策のための土地有効利用といって、アパートや賃貸マンションを建てるにしても、1特定の所しか、入居者が決まらない。2地方圏では難しく、また東京圏でも、資産をシフトする気持ちで立地条件のよい場所を探すこと。3後述するが、物件の目的・テーマを考え、意味のある建物を建てるようにすることである。