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不動産・コンサルタント倉橋隆行先生の不動産投資ノウハウ

現状の賃貸住宅環境と今後の土地有効活用 アメリカ型へ、サービス力が物言う!
PART1 二極化進む、賃貸住宅市場

これからはDCF(discounted cash flow)で土地評価

 前述したとおり、地主さんという資産家は、資産運用に無頓着で、不動産投資に積極的な人は少ない。8%の利回りで運用すれば資産が大きく膨らむことを知らない、あるいはリスクを恐れて信じない人が多い。
土地の場合、ここに更地価格1億円の土地があるとする。これを何もしないで更地のまま放っておくことは、DCF評価では価値ゼロなのである。10年後に地価が上がるか下がるかは分らないものの、さきほどの経済成長並の3%で運用すれば1億3,440万円になる。不動産投資の8%で運用できれば、それこそ倍以上に資産が拡大するのである。では、どのように1億円の土地を運用するかであるが、一般的には建物を建てて収益を得ることになる。その時に、DCF評価が出てくる。その土地に10戸の賃貸マンションを建てたら、5年後にはどのくらい収益を産むのか、6年後は、7年後は、と土地診断するのである。

 DCF評価とともに、土地有効活用で大事なことは、R(キャップレート=資本投下利回り率)である。その土地の価値Vは、I(諸経費を差し引いた収益)をRで割って出てくる。たとえば、銀行評価が1億円であっても、その土地にアパートを建て、そこから上がるI(収益)が1,000万円でRが6%とすると、Vは1億6,600万円。仮に、Rが12%ならば、8,800万円と、1億円以下の評価だ。つまり、1億円の土地に1億円を投資してアパートを建設し、家賃収入が1,200万円だとすると、建物に対する利回りは12%だが、その下の土地を含めると、6%にしかならない。Rを10%とすると、1,200万円割る10%で1億2,000万円となり、8,000万円の価値が低くなる。すなわち、Rが低いほど土地の価値が高くなる。地方では、Rが高いほど好まれるが、実際はRが高いほどリスクが高いのである。だから、東京など大都市では、Rが低いほど好まれるのである。

 

 少し余談になるが、個人的に、競売にかけられる土地の売買話が舞い込んできたことがあった。固定資産税を払わなかったために、自治体に強制収用された物件で、最終的には2,000万円の評価に値する土地を1,200万円で購入することができたが、土地などの不動産は私有物になりきれないものだとつくづく感じた。それまでは、土地を買うために金融機関から借り入れたお金をすべて返済すれば、完全に自分の私有物になるものと考えていたから、このように、税金を払わなければ、すぐに国や地方自治体のものなってしまうと思うと、土地に対する考え方も変わってしまった。

2006.02/21

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倉橋隆行 (くらはしたかゆき)
1958年9月25日生
96年に(社)全国賃貸住宅経営協会横浜南部支部支部長に就任し、翌年、同協会の神奈川連合会の創設に伴い副会長に就任。98年、不動産業界に関するシンクタンクである不動産体系研究所創設に伴い、取締役所長に就任。99年、総合的な月貸し賃貸の運用会社である(株)月極倶楽部を創立、代表取締役に就任。同時に(株)三春情報センターを退職。そして、資産運用管理会社である(株)CFネッツを創立し、代表取締役に就任。2001年、2002年JREM国際CPM協会副会長就任。2003年4月、IREM(全米不動産管理協会)より、CPM(公認不動産管理士サーティファイド・プロパティマネージャー)の称号を日本で初めての公式試験受験による取得者となる。現在、グループ企業4社の代表取締役と取締役、その他公益法人の役職をこなし、超多忙な仕事をこなしている。
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