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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

不動産収入の計上について 1

はじめに

不動産所得を計算する際、費用計上については多くの方が気にしておられますが、意外と収入の計上については、十分な注意が払われていないことが多いのではないでしょうか?不動産収入のうち、今回は賃料等の計上時期、次回は敷金等の授受があった場合の計上の仕方を、簡単にご説明いたします。

地代・家賃等の収入計上時期
【原則】
ふつうは賃貸借契約書が交わされていますので、その契約書に記載されている支払日にその賃貸料を収入として計上することになります(下表1)。この場合、入金がなくても収入として計上します。
 

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【特例】(詳しくは税理士等の専門家にお聞きください)
1.現金主義   …
青色申告者が一定の届出をした場合はその年において現実に受け取った金額をその年の収入金額とします。
2.期間対応主義 …
帳簿を備えて継続して前受・未収の処理をしている場合はその年の貸付期間に対応する賃料をその年の収入金額とします。

未収賃料にご注意
前項の【原則】でも触れましたが、契約書に支払日が明記されている場合、賃料の入金がなくてもその支払日に収入として計上しなければなりません。

たまたま1月だけ入金が遅れた、という場合は皆さん納得(どうせ翌月には入金になるから)されますが、賃借人の状況が思わしくなく1年間全く賃料が払われなかったとしたらどうでしょうか? 賃料が入る見込みがないから、収入計上なんて必要ない!と思ってしまいますが、契約が継続している限り支払日が到来するたびに収入に計上しなければならないのです。

ところで、この入金がない場合においても税金は収入があったものとして計算され実際に納付しなければなりません。お金は入ってこないばかりか、税金はしっかり取られるという泣きっ面にハチ状態になります。

早めに契約を解除して立退いてもらうよう交渉することが重要となります。もし、賃借人が知人等で立退きを迫りにくい事情があるときは契約書上の家賃を下げるなりして収入計上額を少なくする手立てを打っておきたいものです(この場合、贈与税がかからないように気をつけてください)。

なお、立退き後は要件を満たせば収入として計上された未収金は貸倒損失として費用計上ができるようになります。また、家賃増額や明渡しを求める訴訟を行なっている場合には計上の特例があります。

いずれにしても未収家賃が発生した場合は法律上・税務上難しい問題が発生しますので、専門家にご相談ください。

なお、賃貸料の消滅時効は5年となります。

礼金・権利金等の収入計上時期
地代・家賃等に比べてわかりにくい表現ですが、この「資産の引渡し」とはふつう建物の賃貸借ではカギの引渡し、土地の賃貸借では土地の明渡しをいいます。

権利金については、2点注意事項があります。その1は、権利金という名目ではあるが実態は敷金・保証金である場合。この場合は敷金・保証金に準じた取扱いとなります(次号参考)。その2は、借地権の設定に伴う権利金の場合、権利金の額が大きい(その土地の時価の1/2超)と、その取引は譲渡とみなされ譲渡所得の収入金額となってしまうことです。
 

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≪次回へ続く≫

2008.06/03

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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