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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

住宅ローン控除制度の存続

 住宅ローン控除制度については、現行制度を1年延長し、その一方で減税額を段階的に縮小することとされました。その結果、最高控除額は現行の五百万円から平成20年には百六十万円に減額されることになりました。

居住年 控除期間 住宅借入金等の年末残高 適用年・控除率
平成16年 10年間 5,000万円以下の部分 ・1年目~10年目まで 1%
平成17年 同 上 4,000万円以下の部分 ・1年目~ 8年目まで 1%
・9年目~10年目まで 0.5%
平成18年 同 上 3,000万円以下の部分 ・1年目~ 7年目まで 1%
・8年目~10年目まで 0.5%
平成19年 同 上 2,500万円以下の部分 ・1年目~ 6年目まで 1%
・7年目~10年目まで 0.5%
平成20年 同 上 2,000万円以下の部分 ・1年目~ 6年目まで 1%
・7年目~10年目まで 0.5%


不動産の買換えについての改正
「特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度」については、「譲渡資産の取得にかかる住宅借入金等の残高を有する」という条件を除外した上で、平成18年12月31日まで3年間延長されました。また、「事業用資産の買換え特例」についても、現行の制度を3年間延長することになりました。
さらに、平成16年度より、買換え等を前提としない譲渡損失の損益通算・繰越控除が可能となる制度が新設されました。これは、一定の居住用財産について譲渡損失(借入金の金額から譲渡対価の額を控除した残額を限度とする)の繰越控除を認めるというものです。

相続と事業承継についての改正
平成16年4月1日以後に相続等により取得した非上場株式のその発行会社への譲渡益については、これまでのみなし配当課税を適用せず、株式等に係る譲渡所得の課税の特例を適用することになり、これに伴って取得費加算も適用されることになりました。これにより、相続に係る事業承継の負担が軽減されることになります。
また、相続又は遺贈により、特定事業用資産を相続した場合の特定同族会社株式等の価額の上限が、現行の3億円から10億円に引き上げられることになりました。

長期譲渡所得の税率引き下げ
これまで長期譲渡所得については、特別控除後の譲渡益に対して26%(所得税20%、住民税6%)の税率が課されていましたが、平成16年1月1日以降の長期譲渡所得については、税率が20%(所得税15%、住民税5%)まで引き下げられることになりました。
また、短期譲渡所得についても、これまでは原則として、譲渡益に対して52%(所得税40%、住民税12%)の税率で課税されていましたが、平成16年1月1日以降の短期譲渡所得については、39%(所得税30%、住民税9%)まで税率が引き下げられることになりました。

譲渡損失の損益通算は不可
従来認められていた土地建物等の長期譲渡所得または短期譲渡所得の計算上生じた損失と他の所得との損益通算及び繰越控除については、平成16年分以後の所得税及び平成17年分以後の個人住民税から認められないこととなりましたので注意が必要です。
この改正では、個人の不動産の譲渡について大幅な改正が盛り込まれています。譲渡益が見込まれる不動産についてはこの改正で有利になるのですが、譲渡損が見込まれる不動産については損益通算や繰越控除ができないため、この改正で非常に不利になりました。

2005.03/15

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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