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不動産・コンサルタント倉橋隆行先生の不動産投資ノウハウ

間違いだらけの賃貸管理

相続対策もPM業務の一環(3)

事例

 ハウスメーカーからサブリースとして提示された、賃料に関する相談です。

 相談に来たオーナーさんが建てようとする物件は、最寄り駅からバス便の3LDKマンションで、計画段階でも高コストと分る建物でした。

 ハウスメーカーが提示した賃料は15万円、その賃料に見合う様に建物内には過剰な設備が付帯されていました。が、どうみても収支が合うような計画ではありませんでした。

 当社の査定からすると、賃料は11万円が限度で、場合によっては10万円を切るものでした。そこで、オーナーさんへは「事業計画自体に、無理があってリスクが多過ぎます」と結論付けました。

 この当社のアドバイスを、オーナーさんがハウスメーカーに伝えたところ、ハウスメーカーは「そんなにリスキー計画と考えるならば、サブリースで借上げてもよい」という返事で、そのあとに15万円というサブリース賃料を提示してきたのです。

 しかしどうでしょうか、サブリースといっても、そのハウスメーカーが近隣相場より高く貸せる保障はまったくと言っていいほどありません。

 “適性な賃料は入居者が決めるもの”で貸主が決めるものではないということです。

 そうことで、再度、オーナーさんを説得して、当初の建築計画は取りやめることになりました。

 この事例は、バブル期頃のもので、仮に、あの時に当社のアドバイスを振りきって、その3LDKの賃貸マンションを建てていたら今頃どうなっているのか。

 立地、賃料からして、新築のマンションに顧客をとられ空室だらけで賃貸経営どころか破綻する可能性が大でしょう。

 ということで、オーナーさんの賃貸経営計画は大きく修正され、当初の建築コストを半額にしローコストの2LDK間取りで12室のマンションを建てることにしました。

 これで、現在、投資利回りは14%前後を確保する優良物件となっています。

 不動産物件は、概ね、所在するエリアによって適性賃料、相応な建物が決まってきますから、他社物件と差別化を図るために設備に過剰にお金をかけたからといって、そんなに賃料を高くとれるものではありません。

 そのあたりを理解できないオーナーさんですと、ハウスメーカーの話を鵜呑みにして失敗することがありますから十分注意しなければなりません。

 当社は、幅広く不動産のコンサルティング業務を行なっています。

 たとえば賃貸事業の案件が入ったとします。

 通常、まず土地[エリア]にあった建物を考えるわけですが、その際、当社の一級建築士がPM事業部のスタッフと協議し、入居者層等を想定して建物の設計をします。

 次に、過去のそのエリアでの適性賃料を算出します。

 そして、次が一つのミソで、新築物件としてではなく、築5年程度経った建物の賃料相場を基準にして想定賃料を出します。

 そこから建物本体の適正な投資価格を割り出し、投資価値(金額)を決定します。

 一般には、このような当社の段取りなどはおろそかなまま、オーナーさんがハウスメーカーと直接やり取りしているので、建築会社やハウスメーカーの考えに委ねてしまい、どうしても建築会社やハウスメーカーの利益が上がる、言い換えれば、建て易い物件を建てるようになるものです。

 この点、当社のコンサルティング事業部では、建築業者は1社に絞らず、複数の会社に見積書を出してもらい、その中でオーナーさんに1番有利で施工実績のあるところを選択するようにしています。

 言うなれば、プロが計画から施工まで総合的にオーナーさんの投資事業をフォローするため、質が高くて適性価格の建物が手に入りますので、失敗する可能性はまずありません。

 ついでに、さきほども少し触れましたが、当社が建築コンサルした建物については設計通りになっているのかどうか、建物の強度は大丈夫なのか、随時施工状況を見守っています。

 当社のこだわりについて、何点か挙げますと、基礎部分は防水シートを敷き鉄筋を入れてコンクリートで仕上げるため、通常の“布基礎”の数倍高い強度となっています。

 壁については、グラスウール等は使わず、ポリウレタン(2×4の場合)を使用し、湿気での建物劣化を遅くする工法を提案しています。

 当社がこのような工法を提案し、きちんと施工されているのかを確認することで、オーナーさんにとっては建物という資産を長期的に保有できますし、当社にとっても管理しやすくなるわけです。

2006.12/26

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倉橋隆行 (くらはしたかゆき)
1958年9月25日生
96年に(社)全国賃貸住宅経営協会横浜南部支部支部長に就任し、翌年、同協会の神奈川連合会の創設に伴い副会長に就任。98年、不動産業界に関するシンクタンクである不動産体系研究所創設に伴い、取締役所長に就任。99年、総合的な月貸し賃貸の運用会社である(株)月極倶楽部を創立、代表取締役に就任。同時に(株)三春情報センターを退職。そして、資産運用管理会社である(株)CFネッツを創立し、代表取締役に就任。2001年、2002年JREM国際CPM協会副会長就任。2003年4月、IREM(全米不動産管理協会)より、CPM(公認不動産管理士サーティファイド・プロパティマネージャー)の称号を日本で初めての公式試験受験による取得者となる。現在、グループ企業4社の代表取締役と取締役、その他公益法人の役職をこなし、超多忙な仕事をこなしている。
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