今年の税制改正は景気対策の観点から納税者に有利な内容でしたが、6月19日にはさらに追加経済対策として贈与税の非課税に関する特例(措置法)が成立しました。今回はその制度の簡単な紹介です
制度の概要
今回の贈与税の特例は、平成21年と22年の2年間において、住宅を取得等するための資金の贈与が親子間や祖父母と孫との間であった場合には、2年間合計で500万円までを贈与税の非課税財産とするというものです。この特例は平成21年1月1日以降の贈与に遡って適用されます。
特例の要件
この特例を受けるためには次の要件を満たすことが必要です。
(1) 贈与の期間
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間に限定されています。
(2)
贈与を受ける人(以下、「受贈者」)
贈与のあった年の1月1日において20歳以上の方。
(3) 贈与をする人
受贈者の父母または祖父母(直系尊属)。
(4)
贈与の内容
受贈者が自ら住むための住宅(敷地を含む)の購入や増改築等のために用いる資金(以下、「住宅取得等資金」)の贈与。
但し、一定の親族から購入等する場合の資金に適用はありません。
(5)
居住要件
受贈者が当該資金により取得または増改築等をした住宅に贈与のあった年の翌年3月15日(一定の場合は12月31日)までに居住すること。
(6) 申告書の提出
この特例を受ける旨を記載した贈与税の申告書を提出すること
贈与税がかからない範囲
この特例は、暦年課税または相続時精算課税のいずれの贈与でも適用できます。その贈与税がかからない最も大きい金額は次ページの通りです。
相続財産との関係
今回の特例は相続時においても次のメリットがあります。
(1) 暦年課税の場合、相続開始前3年以内の贈与であってもこの非課税枠500万円については相続財産に加算する必要がありません。
先の(A)でいえば、610万円のうち基礎控除額部分の110万円についてのみ相続財産に加算されます。
(2) 相続時精算課税の場合、贈与した財産は全て相続財産に加算しますが、この非課税枠500万円については加算する必要がありません。
先の(B)でいえば、4000万円のうち特別控除額部分の3500万円についてのみ相続財産に加算されます。
つまり、住宅取得等資金の贈与であれば500万円部分については相続財産から確実に除外されますので、相続対策としてはたいへん効果的です
ここに注意
(1) この非課税枠は2年合計で500万円までです。
(2)
この非課税枠は受贈者単位です。
つまり、父から500万円、母から300万円の住宅取得等資金の贈与があったとしても非課税となるのは合計500万円までです。
逆に父が子供三人に各500万円、合計1500万円を贈与した場合は、各人への贈与は非課税の枠内に納まることになります。
最後に
取得する住宅や増改築等について一定の要件があります。また、暦年課税と相続時精算課税のいずれが有利かの検討も必要になります。
詳細については、また、ご相談ください