アメリカ人と日本人の賃貸住宅に対する考え方には大きな違いがみられる。日本の場合は「分譲住宅を買えない人」が住むイメージ(実際も?)が強い。対して、アメリカ人は、「持ち家になく、賃貸住宅にあるサービス(付加価値)を借りる」というのが一般的な考え方なのだ。彼らは、分譲住宅を買えば(実際、経済力がある人が多い)、メンテナンス、維持管理が大変であり、それより、ホテル並のソフトサービスを受けられる賃貸を求めているのである。日本でいう、純粋な賃貸派であるといえよう。
では、アメリカの賃貸住宅に住んでいると、どんなサービスを受けられるのか。まず一番に挙げられることは、すぐに日常生活に入れるように、キッチンや冷蔵庫を含めた家具一式が付いていること。加え、絵画やソファー、照明器具など借りる人の趣味趣向に合わせて、オプションで取り寄せることができる。そのために管理会社は、インテリアコーディネーターを雇い(2時間)、借り手に対し部屋のコーディネートのアドバイスを提供する。たとえば、日本のモデルハウスをそのまま借りるようなことも可能なのだ。つまり、入居者は、住宅とオプション家具等をセットで「部屋の料金はいくら、家具の料金にはいくら」と、合算した賃料を払い借りるのである。つぎに、建物・敷地内には1スタンドバーなどが付帯されたコミュニティの場(リビング)2プール3テニスコート4スカッシュコートなどが設けられていること。これらの設備は当たり前で、団地によってはゴルフ場施設も備わっている。
アメリカ人は生涯で平均14、5回(日本人の倍)引越するという国民性、そして国土が広く、引越しするにしても、飛行機で2時間以上かかるところもあり、家具を持たない方が合理的なのである。こうしたことから、アメリカのような広い国土で、家具付き賃貸住宅が浸透してきたのだろう。しかし、後述するが、日本でも『家具付き賃貸住宅』はマンスリーマンションとなって全国的に定着してきている。