今年も確定申告の時期がやってきました。平成29年度の税制改正により配偶者控除及び配偶者特別控除制度が改正されました。控除額の改正の他に、所得者の収入金額に制限が設けられるなど、大幅な改正となっています。
今回はこの制度改正と、確定申告の留意点をご紹介したいと思います。
<配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正>
配偶者控除の控除額が次表のとおり改正されたほか、所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることはできないこととされました。
また、配偶者特別控除の対象となるのは、配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下、かつ所得者の合計所得金額が1,000万円以下の場合となり、次表のとおり控除額が改正されました。
◆改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除の一覧表 (国税庁ホームページより)
(1)「ふるさと納税ワンストップ特例」
1.概要
ふるさと納税をされた方は、確定申告をすることにより、所得税の寄付金控除及び個人住民税の寄付金税額控除を受けることができます。
確定申告の不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合、納税先が5団体以内であれば確定申告を行わずに寄付金控除を受けられる仕組み「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が平成27年4月より創設されています。(平成27年4月1日以降に行うふるさと納税が対象です。)ふるさと納税ワンストップ特例の適用をうける方は、所得税からの控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う個人住民税の減額という形で控除が行われます。
2.申請手続き
この申請には、ふるさと納税を行う際に、各ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。この特例の適用申請後に、転居による住所変更等、申請書の内容に変更があった場合、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までにふるさと納税先の自治体へ変更届出書を提出する必要があります。
(2)注意点
この特例の申請書を提出された方が、医療費控除を受けるなどのために確定申告をする場合には、ワンストップ特例の適用を受けることができません。確定申告を行う際に全てのふるさと納税の金額を寄付金控除額の計算に含める必要があります。
(3)ふるさと納税の特産品の取扱い
ふるさと納税に対する謝礼として特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。所得税法上、収入としなければいけない金額には、金銭以外の物や経済的利益の額も含まれます。
一時所得の金額は次のように計算します。
(1)確定申告をする必要のない方
公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下(*1)で、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(*2)が20万円以下である場合には、所得税の確定申告をする必要はありません。
(*1)複数から受給されている場合は、その合計額です。
(*2)「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額」で主なもの
・給与所得:給与等の収入金額
- 給与所得控除(収入金額が85万円の場合、所得金額が20万円です)
・雑所得(公的年金等以外):個人年金、原稿料など
・一時所得:生命保険の満期返戻金など
・配当所得:上場株式等の配当所得で、申告不要制度を選択した場合を除く
(2)個人住民税の申告の必要のある方
上記(1)に該当し、確定申告をしなかった場合で、次にあてはまるときは 個人住民税の申告が必要です
・公的年金等に係る雑所得のみがある方で、「公的年金等の源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除等)以外の各種控除の適用を受けるとき
・公的年金等以外の所得があった方
公的年金等以外の所得の金額(上記(1)*2の所得金額)が20万円以下で、所得税の確定申告が必要ない方も個人住民税の申告が必要です
今回は、平成30年度より適用となった配偶者控除及び配偶者特別控除の改正について説明させていただきました。平成30年度より、配偶者の所得金額と、所得者の所得金額を確認して控除額を確定することになります。
また今回の改正ではありませんが、誤りやすい事項として「ふるさと納税」と「公的年金等を受給されている方の申告」について、説明させていただきました。