印紙税という言葉をご存知の方は多いと思いますが、その内容ともなると???ではないでしょうか。今回はその印紙税についての簡単なお話です。
1.誰が、いつ、どうやって納めるの?
印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や領収書などの文書(以下「課税文書」という)に課税する税金で、原則、その課税文書に収入印紙を貼って消印する方法で納めることになります。
印紙税は課税文書を作成した者が納めなければなりません。課税文書を共同して作成した場合には、その共同して作成した者が連帯して納める義務が生じます。負担割合は通常は等分とされていますが、異なる割合であっても印紙税法上はかまいません。
なお、領収書(受取証)はその発行者が印紙を添付することになります。
2.課税文書とは
印紙税法では、各種の文書のうち、特定20種類の文書を課税文書と定めています(表1には主なものを掲載しました)。なお、予約契約書・仮契約書・申込書・協定書・念書・覚書などの文書であっても課税事項を証する目的で作成された場合は課税文書に該当します。
<表1.主な課税文書>
番号 | 文 書 の 種 類 |
1 | 1 不動産等の譲渡に関する契約書 2 土地の賃借権等の設定又は譲渡に 関する契約書 3 消費貸借に関する契約書 4 運送に関する契約書 |
2 | 請負に関する契約書 |
3 | 約束手形、為替手形 |
7 | 継続的取引の基本となる契約書 |
17 | 1 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(一般の領収証) 2 売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書(Ex.借入金の受取書など) |
3.印紙の金額は
課税文書に貼るべき印紙の金額は課税文書の種類によって、また、その中に記載されている金額によって異なります。
例えば、領収書は第17号の1文書に該当しますが、領収書に記載した金額が3万円未満なら非課税(印紙の添付不要)、3万円以上の場合は表2にあるとおり、その記載金額により印紙税額が違ってきます。
また、2種類以上の性格を有する課税文書である場合の印紙税額については詳細な定めがあります。
<表2.第17号の1文書の印紙税額>
記載された受取金額 | 印紙税額 | |
3万円未満 | 非課税 | |
3万円以上 100万円超 200万円超 300万円超 500万円超 1千万円超 |
100万円以下 200万円以下 300万円以下 500万円以下 1千万円以下 2千万円以下 |
200円 400円 600円 1千円 2千円 4千円 |
(省略) | (省略) | |
金額の記載なし | 200円 |
4.印紙を貼らないと
印紙税を納めなかった場合には、納付すべき印紙税額の3倍(場合によって1.1倍)が過怠税として徴収されます。逆に、納めすぎた場合は5年以内であれば還付してもらえます。なお、印紙は消印をしていないと納付とは認められません。
5.不動産売買契約書
個人の方が不動産の売買をして契約書を作成することがあります。この場合、商売でやっているわけでないので印紙の添付は不要と判断しがちですが、この文書は第1号の1文書に該当し印紙を添付しなければなりません。
6.建物賃貸借契約書
課税文書に該当しませんので印紙の添付は不要です。なお、平成元年3月31日までは課税文書に該当していました。
7.土地賃貸借契約書
先の建物賃貸借契約書と異なり、第1号の2文書に該当し、印紙税額は200円の定額です(権利金等の収受がある場合を除く)。
8.領収証 【1】
個人が私的財産を譲渡したときなどに作成する領収書は第17号文書には該当しますが、営業に関しないものとして非課税扱いになります。
9.領収書 【2】
ところが、サラリーマンが保有する1戸の収益物件について作成した領収書は営業に関わるものとして課税対象となります。印紙税の場合、「営業」はその収入規模ではなく、反復継続性を問うためです。
10.売買取引基本契約書など
第7号文書に該当し印紙税は4千円の定額です(取引条件の定めがない場合は200円の定額の場合も有ります)。
11.最後に
不景気下、税務署は印紙税を重点的に調査していくことが予想されますので今後注意が必要です。なお、課税文書の種類や印紙税額について判断が難しいものについては税務署や税理士などの専門家にご相談ください。