“地球環境にやさしく、 60年以上安心して快適に住み続けることのできる住まいの提供”・・・それが、セキスイハイムの事業理念。2月に行われた「満室経営実践セミナー」の第2回目である今回は、セキスイハイムの「住まい」づくりを体感するための、工場見学会が開催されました。
より良いアパート経営に欠かせない、入居者のための安全で快適な「住まい」は、どのようにして造られるのでしょうか。晴天に恵まれた 3月11日、75名の参加者を乗せた3台のバスが、セキスイハイム奈良工場に到着しました。「なぜ、工場で家をつくるの?」・・・そんな疑問を解き明かすべく、見学会の模様をお伝えします。
さぁ、工場見学へ!
住宅メーカーが挑戦する高品質な住性能は、すべて屋根の下(工場内)で造られます。吹きさらしの環境下での作業より、屋内での作業の方が明らかに効率が上がるからです。改めて聞くと、こうした事実にハッとさせられるのですが、これは数ある住宅メーカーの中でもとても珍しいことなのです。作業は工場生産ならではの分業制になっており、すべての作業を一人でこなす現場作業とは効率面でも大きく差がつきます。各工程ごとに精通したプロフェッショナルが、より正確な作業を集中してこなしていく様子はとても新鮮。それでは、作業工程を順に見ていきましょう。
まずは住宅の骨組みである「ユニット」を組み立てる
A棟へ。ここで天井・床・妻と、3つの鉄骨フレームが造られ組み立てられます。現場作業とは異なり、工場内では足場を組まずに作業が行われるため作業員の安全も確保され、より強度の高い住宅が実現可能となります。柱とジョイントピースの溶接には「アーク溶接」という技術が、大梁とジョイントピースの溶接には「スポット溶接」という技術がそれぞれ用いられ、建物の強度を飛躍的に高めます。それはのちに行われる強度実験で、驚異の結果となって証明されることに!
さらに床部分は。1?あたり160kgの重圧にまで耐えられるとのこと。これは、アップライトピアノでも難なく設置できる値です。相当な重さの厚い床版ではありますが、専用の吸盤のような機械で持ち上げることにより、組み立てが容易に可能。これも現場工事と違い、工場ならではのメリットではないでしょうか。
実際に見て触れて、強度と安全性を体感
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B棟へ移動。当然のことながら工場の面積はとても広く、その中をすべての作業が無駄なく流れるように行われている様子が手に取るようにわかります。さきほど組み立てられたユニットは、まずユニット自動計測装置にかけられ、寸法精度などの厳しいチェックを受けます。そして2mm以下の誤差という基準をクリアした後で、外壁・断熱材・内壁や階段などが取り付けられていきます。各ユニットに個性が見えてくるのもこの工程から。施工主のオーダーに合わせた、一枚一枚異なる材質の外壁が、コンピュータ管理により間違うことなく搬入されていきます。セキスイハイムの外壁バリエーションはかなり豊富とのこと、これを人為的な管理に任せるのは不可能と言えそうです。
が、しかし。人間の目でしか確認できないこともあります。それが外壁の目地を合わせるという作業です。「測定治具」と呼ばれる道具を使い、作業員の手によりミリ単位の修正が加えられていきます。こうして完成した大きな一枚の外壁パネルが、クレーンで運ばれユニットごとに取り付けられるというわけです。
断熱材が取り付けられ、内壁や額縁、階段と肉付けされていくと、だんだんと「家」というリアリティーが沸いてきます。頭の中ではなんとなくわかっていたその手順も、改めて見つめてみるととても細やかかつ大がかりな作業であることが実感できます。そして、その素材を実際に自分の手で触れてみるというのも、これまた貴重な経験です。
こうして出来上がってきたユニットは、その一つひとつにキッチンやサニタリー、建具などが組み込まれ中間検査や厳格な最終検査を経て出荷されます。セキスイハイムでは、戸建て・アパートを分け隔てなく同じラインで製造するため、その強度や安全性・耐震性にまったく違いはありません。このあと訪れた「住まいのなるほど見聞館」では、その強さの秘密に見て触れて、さらに納得。
たとえば現場作業で通常採用されている「鉄骨軸組工法」では、たくさんのボルトを用いた接点で住まいを支えます。対して工場見学でも目にした、セキスイハイムでは頑強なユニット構造体を上下左右に組み合わせる「鉄骨ユニット工法」を採用。この違いをわかりやすい展示で確認すると、明らかに頑丈であることがわかります。また、遮音性が高くアパートなどの防音対策にも有効と言えるでしょう。
また、現場作業というのは職人さんの腕次第。果たして指定された寸法に床材などを切断できるのか、直角や水平に誤差はないのか・・・疑問点が多い上、手間がかかることも確かです。
環境への徹底した取り組み
続いてお昼休憩と前回の査定報告を挟んだ後、工場長の挨拶では環境への取り組みが説明されます。“ゴミはすべてリサイクル”・・・これもセキスイハイムが力を入れている方針の一つ。廃棄物を減らし、再利用を促進。徹底した分別で
95%再資源化を可能にし、資源に戻らない残り5%の廃棄物は「サーマルリサイクル」として燃焼させることにより熱源として利用するのだそうです。工場内作業だからこそ、現場に運ぶ梱包等も省け、これも環境保護に一役買っているのだとか。
そういえば、工場見学の途中にこんな展示がありました。それは、「再築システムの家」。下取りした
20年前の建物のユニットに見て触れることができるのですが、新品のものと比べても何ら損傷はありません。このようにセキスイハイムでは、使われなくなった家を下取りし、再利用するという独自のシステムを展開しているとのこと。建てるときも建ててからもエコロジー、これは建築廃材の減少にもつながります。そして140年以上錆びない「骨太ハイム」を、工場内施工が支えているとも言えます。
クライマックスは大掛かりな落下実験!
建物の強度が一番試される時・・・それは、地震。こうして造られたセキスイハイムの家が、本当に揺れや衝撃に強いのか。参加者の関心が高まったところで、本日は大掛かりな実験が用意されているとのこと。と、その前に。エコハイム推進室の伊藤氏より、「賃貸経営と地震対策」について触れられます。そう、入居者の安全確保を図るのも、オーナーさんの役目。正しい知識と備えは、地震大国ニッポンにとって避けては通れない道なのです。
実際、セキスイハイムの家を用いた地震体感装置で、震度
7の地震を体感してみました。横揺れ、縦揺れがミックスされた大地震は、遊園地の乗り物のように我々を激しく揺さぶります。が、5000回以上を繰り返したという実験の後でも、強固に造られた家の戸はスルリと開き、壁や床に歪みなどは一切生じていないのです。これには参加者一同から、「信じられない」といった表情が伺えました
工場の入り口付近が何やら騒々しくなってきました。
大きなクレーンが、先ほど工場見学で見たユニットを、高さ 5mの位置まで釣り上げています。一体これから何が行われるのでしょう。
「落下実験、
5秒前。4・3・2・・・」アナウンスが流れたあと、ドーンという大きな地響きとともにユニットが落下しました。わずかに砂けむりが上がっており、衝撃の強さを物語っています。これは阪神大震災の4倍に相当する、3200ガルの衝撃が加わっていることになるそうです。
参加者が息を呑み見守る中、まずはユニット外観のチェックが行われます。続いて、幅の変形がないか寸法を測るのですが、ここで驚くべき事実が証明されます。なんと! 昨日から続く
12回目の実験にも関わらず、たった1mmの変形しか確認できないというのです。そしてそれをより確かな事実にするべく、ユニットは元の基礎の上に無事、収まったのです!
まるで何事もなかったかのように・・・
駆け寄る参加者が特に注視していたのは、その溶接部分。工場で目にした技術がここまで強固なものだとは、誰も想像すらしていなかったでしょう。「うん、これなら安心して暮らせる」・・・そんな声がどこからか聞こえてきます。
このように、数々の過程を踏んで造られたユニット住宅。一日に約
130ユニット、戸数にして10軒分ほどが奈良工場から出荷されていきます。そして朝、建築現場に到着し夕方には工事が完了するという、わずか一日の据付けを実現しています。大切な住まいが、雨やホコリに長期間さらされる心配もないのです。
これもひとえに、開発から生産・営業体制までをネットワークで運営する、セキスイハイムだからこそできる技。「本当に頼れるパートナー」を探すオーナーさんにとって、心強い味方であることは間違いありません。
春を感じさせる暖かな昼下がり・・・参加者の方々も充実した表情。それぞれのバスに乗り込んでの解散となりました。
積水化学工業株式会社 ホームページアドレス http://www.43up.jp/