前回は「賃貸マンション、アパートの市場価値を高める方法」と題して、市場価値に大きな影響を与える賃料を下落させない事が重要であり、その為に計画的なメンテナンスや改修が重要であることを説明しました。
しかしながら、メンテナンスや改修などに費用をかけ過ぎてはいけませんので、今回は費用対効果の計り方の1つであるCCRを使った方法を紹介します。
ところでCCRって何?
CCR=自己資本配当率 (Cash on Cash Return )
CCR=キャッシュフロー÷自己資本
つまり、自己資本に対して、どれだけのリターン(配当)があったかを知るのです。
※自己資本=自己資金
例1
賃料年収800万円の古びたマンション。
平均稼働率:80%(年間20%は空室)、借入は無し。
この物件に現金で2,000万円の改修をして、賃料年収を200万円アップの1千万円にできた場合CCRはいくらでしょうか?
200万円(賃料増加分)÷2千万円(自己資本)=10%
単純な話しですよね。
2千万円を使って、200万円を得る。
利回り(CCR)は10%。
それだけではありません。
200万円の賃料アップは、物件の市場価値をも高めています。
期待利回りが10%の投資家にとっては、市場価値は2,000万円のアップです。
もし、期待利回りが5%なら、4,000万円のアップです。
これは、前回説明したので、忘れた方は前回をご覧下さい。
では、借入をして改修した場合はどうなるのか。
物件は同じであると想定しました。
例2
賃料年収800万円の古びたマンション。
平均稼働率:80%(年間20%は空室)、借入は無し。
この物件に1,000万円の現金と1,000万円の借入で2,000万円の改修をして、賃料年収を200万円アップの1千万円にできた場合のCCRはいくらでしょうか?
この時の金利は2.5%。
返済期間は15年(120回払い)
年間返済=約80万円
キャッシュフロー=200万円(賃料増加分)-80万円(年間返済額)=120万円
120万円÷1,000万円(自己資本)=12%
如何でしょうか?
現金より、借入してでも物件を改修した方が、利回りが大きくなります。
この現象をレバレッジ効果が高いと表現します。
このレバレッジとは、てこの原理のことです。
小学校で支点、力点、作用点なんて習ったあのてこの原理です。
小さな自己資本で大きな利益を得る事ができます。
しかし、金利が高いと逆でマイナスになることもあります。
つまり、レバレッジは正と負の両方が存在します。
このように、投資した自己資金がいくらの利回りで回るのを知った上で投資すれば、費用対効果を図ることができます。
計算してみて、費用対効果があると思えれば、投資すれば良いのです。
ここで、付け加えておく注意点は、すべて予測であるという事です。
金利も賃料の増加分も含めてです。
特に賃料の増加分は、市場調査を誤ると全然違う結果になりますので、しっかりと周辺の賃料相場、稼働率、地域のトレンドなどを分析してから計画することをお勧めします。
次回はレバレッジ効果を詳しく説明します。