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リプロス代表・松尾充泰の賃貸経営ノウハウ

ペイオフ対策をしていない賃貸管理業者に物件を任せるな

 2005年4月1日より、全面的にペイオフが解禁されます。

 これにより、金融機関が破綻した場合、普通預金であっても利息の付く口座であれば1,000万円とその利息以外は保護されなくなります。

 また、同じ金融機関で貯金を複数の口座に分けたり、普通預金や定期預金に分けたりしていても、「名寄せ」として合算されてしまいます。
 皆さんはペイオフ対策をされていますか?

 私が大家さんであれば、取引している賃貸管理業者にどのようなペイオフ対策をしているか確認し、納得できなければ、安心できるペイオフ対策をとるように要請します。

 もし、ペイオフ対策ができない賃貸管理業者は、リクス管理能力が低いと判断して管理契約を解除します。
 私の考えでは、賃貸管理業者は大家さんの利益の最大化を目指し、同時にリスクの最小化を目指さなくてはなりません。

 また、賃貸管理業者の皆さんは、大家さんに不安を与えない為にも、自らのペイオフ対策を説明する必要があります。

 そして、できれば大家さんの資産を守るお手伝いとして、大家さんのペイオフ対策についてアドバイスをしてあげる事ができれば、更なる信頼を得る機会にも繋がります。

 それでは、ペイオフ解禁が賃貸不動産業界にどのような影響があるのか、そして、その対策はどのようにすれば良いかを簡単にご説明します。

≪金融機関の破綻による影響≫
1.賃借人から預かっている敷金や解約返戻金などが返金できなくなる
2.賃借人から預かった賃料を大家さんに支払えなくなる

上記の影響は、誰もが想像つく範囲だと思います。しかし、被害を受けるのは預金者だけではなく、敷金や解約返戻金の返金を受けられなくなるかもしれない賃借人や大家さんでもあります。

 また、間接的に被害を受けた人の中には、この影響で破綻される方も発生するかもしれません。

 つまり、金融機関の破綻によって、直接被害を受けた預金者が、加害者になり、なんの落ち度もない賃借人や大家さんに被害を与える事にもなります。

 よって、第三者のお金を預かる立場は、高度な注意義務が発生し、そのお金の管理をどのようにしているか、それらを説明する義務があると言えます。

参 考

口座種別 2005年4月以前 2005年4月以降
当座預金 全額保護 全額保護
決済用預金 全額保護 全額保護
普通預金 利息なし 全額保護 全額保護
利息あり 全額保護 ペイオフ
定期預金 ペイオフ ペイオフ

≪対策≫
1.家賃などの決済用口座に格付けの低い金融機関をなるべく利用しない
 もし、利用するのであれば、保護対象になる額を複数の金融機関に分散させるか、保護対象となる当座預金や決済用預金、また、利息無しの普通預金を利用してください。

2.敷金・解約返戻金など長期に預かるお金は、格付けの高い金融機関に預金する

 金融機関に借り入れがあり、その借り入れの約定により相殺が可能な場合はペイオフ対策になりますが、約定については必ず確認が必要です。

3.長期に預かるお金は、元本割れリスクの低い国債などの金融商品で保有する

 途中解約ができないなどのリスクがあるので、流動性のある資金をある程度は確保した上で国債などの金融商品を保有する必要があります。

 上記の対策以外にも多くの対策方法や、"2"と"3"を複合的に行う方法があると思います。

 まずは、取引先の金融機関の格付けを把握してください。

 今までは、金融機関が一方的にお金を借りる人の審査をする時代でしたが、これからは預金者も金融機関を審査する時代です。

 書店で販売されている「週刊ダイヤモンド」などが定期的に格付けを発表していますので、それらを参考に取引先金融機関の格付けを把握して、対策を検討してみてはいかがでしょう。

2005.03/22

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松尾充泰 (まつおみつひろ)
(賃貸不動産経営コンサルタント)
昭和43年大阪生まれ。
96年に賃貸不動産業界での職務経験を生かし、賃貸不動産業界向けソフトウェア開発会社、アクセス株式会社を設立。その後、賃貸不動産会社に対する業務コンサルティング、大家さん・賃貸不動産業界のビジネス支援サイトを運営する、株式会社リプロスを2003年に設立。